日本の各地点の 二酸化炭素濃度 の時系列推移を確認します。データ出所は気象庁です。
- 本ポストは定期的に更新します。
始めに用語の定義を確認します。
- ppmは大気中の分子100万個中にある対象物質の個数を表す単位です。
- 大気中の温室効果ガス濃度は、濃度があらかじめわかっている標準ガスと比較して求めますが、標準ガスの濃度は使用期間中に変化することがあります。このため、観測に使用した標準ガス濃度の変化を確認した段階で、観測値にその値を反映させ確定値とします。速報値と確定値の濃度差は、通常二酸化炭素で0.1ppm以下、メタンで1ppb以下です。 出典 : https://ds.data.jma.go.jp/ghg/kanshi/obs/co2_monthave_yon.html
- 気象庁の二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスの観測では、広い水平空間を代表する平均的な濃度(バックグランドデータ)を求めています。観測所で観測される濃度値には、気象状況などにより生じる局地的で時間スケールの短い濃度変動が含まれているため、これらの条件のデータを選別し除去することにより、広い水平空間を代表する平均的な濃度と考えられるバックグランドデータを求めることができます。具体的には以下の手順によってバックグランドデータを求めます。
出典 : https://ds.data.jma.go.jp/ghg/kanshi/obs/month_calculation.html
- 測器の点検、故障時などを除いた、全ての観測値を1時間平均して時別値を求めます。
- 時別値を求める際、算出に用いる観測値が本来得られるべき数の半数未満の場合は時別値を求めません。
- 時別値を求める際、算出に用いる観測値に一定以上のばらつきがある場合は時別値を求めません。
- 時別値を求める際、その前後の時別値との差が両方とも一定以上の値を超えた場合は時別値を求めません。
- 上記の手順により残った時別値を、バックグランドデータとします。
- 日別値は、バックグランドデータとして選択された時別値を平均します。
- 月別値は、バックグランドデータとして選択された時別値を平均します。
- 年平均濃度は、求められた月別値を平均します。
時系列推移を確認する 地点リスト は以下のとおりです。
1. 大気環境観測所(綾里)
始めに大気環境観測所(綾里)(Figure 6)における大気中二酸化炭素濃度の月平均値の時系列推移(1987年01月から2024年02月)を確認します( Figure 1 )。なお、対象期間中の欠損値は Table 1 のとおり、2011年4月の1件です。
線形モデルを仮定しますと(Listing 1)、大気環境観測所(綾里)の大気中の二酸化炭素濃度の月平均値は有意(5%。以下同様)に毎月0.17ppm増加していることを確認できます。但し、1995年前後頃から傾きがそれ以前より急になっているように見られます。
月平均値の自己相関関数を確認しますと(Figure 2)、12か月周期の増減が見られ、月別の箱ひげ図を確認しますと(Figure 3)、6月から10月にかけて濃度が低下する様です。
大気環境観測所(綾里)の大気中二酸化炭素濃度の月平均値を年毎に合計して求めた年平均値(綾里)[ppm]の時系列推移(Figure 4)を確認しますと、年平均値は増加傾向にありますが1993年以降と以前で傾きに変化があるように見られます(Figure 5)。
そこで1992年以前を0、1993年以降を1としたダミー変数 t_since1993 を設けた線形モデルを確認しますと(Listing 2)、同ダミー変数は有意な結果となります。
そこで、それぞれの期間の線形モデルを確認しますと(Listing 3。上段が1992年以前、下段が1993年以降)、1993年以降のほうが二酸化炭素濃度の年平均値の増加率が急であることを確かめられ、1993年以降では毎年2.1ppm、二酸化炭素濃度が上昇している様です。
以上です。
Date | value |
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2011年04月 | NA |